長野県・茅野市『原村』土地の恵みを味わう1泊2日の旅

「木の葉が水に落ちる月」、「草木が豊かに育つ月」、「太陽が再びやってくる月」

 

アメリカの先住民の暦に使われていた月の呼び名だ。

 

日本の暦にも、季節の移ろいを知る目安として「啓蟄」や「立夏」などの二十四節気や、

 

「東風解凍」(春風が吹き氷が解け始める頃)、「桃始笑」(桃の花が咲き始める頃)などの七十二候がある。

 

 

 

 

「暦」の語源は「日読み(かよみ)」とも言われていて、

 

四季のある日本では、自然の移り変わりからもたらされる恵みを存分に受け取るため、

 

細かく時を読み、自然を読み、農作業や漁業、猟などの段取りに生かしてきたのだろう。

 

 

 

 

 

今回訪れた諏訪地方の旅の目的は、土地の恵みをいただくこと。

 

「凍みる」ほど冷え込む気候が生んだ「凍み豆腐」や「凍み大根」。

 

そして、寒暖差の激しい土地だからこそ生まれる、美味しさをギュッと内側に蓄えた食材に、心身満たされようと出かけた。

 

 

 

 

自宅で古民家料理店「ひなの方」を営む寿美子さんは、地元で生まれ育ち、

 

60年ほど前にスイスでフランス料理の調理にどっぷり浸かった異色の経歴を持つ、料理の匠。

 

 

 

 

訪れた日は、カリフラワーとかぼちゃのスープ、凍み大根のグラタン、晒し柿のなます、食用ほおずきなどがテーブルに並んだ。

 

 

 

 

 

 

「凍み」の文化は、食材が限られる厳しい冬を乗り切るための先人の知恵。

 

 

そして、できた凍み豆腐や凍み大根を美味しくいただけるよう工夫を凝らすのも知恵。

 

 

 

 

さらに、この地では渋柿しか育たない土壌ゆえ、渋を抜くための「晒す」知恵が伝わっている。

 

寿美子さんが教えてくれたのは、「柿のお尻に焼酎をチョンと付け、布団をかけて4、5日温めておく」という方法。昔はこたつの脇に置いたそうだ。

 

晒し柿は渋さが抜けるだけでなく、果実にトロみが増し、

 

 

なんとも言えない甘さと食感に生まれ変わる。そのままいただく甘柿より、極上の逸品に仕上がっているように思える。

 

 

 

 

翌日の朝、ケータリングで朝食を届けてくれた、発酵食品「かもすや」の店主も、

 

麹、味噌、豆腐を自ら作り、土地の文化と風土を生かした料理でもてなしてくれた。

 

 

 

 

 

くしくも2人が共に口にしたのが「暦が乱れている」ということ。

 

10月頃まで暑さが引かない今の気候では、昼夜の温度差がなく、食材が食べごろになるのにうんと時間がかかってしまう。

 

 

秋が深まるほどに甘くなるほおずきも柿も、山から吹き降ろす、乾いた冷たい風が味の決め手になる凍み豆腐も凍み大根も、昔の暦に従って準備しようとするとうまくいかないそうだ。

 

 

 

 

「小林豆腐工房」は、地元の空気と水、そして大豆が織りなす豆腐の力を信じ、

 

 

この土地に伝わる昔ながらの製法を復活させた、小林哲郎さん・千年さん夫婦が手がける店。

 

 

 

 

当初は地元産の大豆で作ることを追求したが、生産者がいなくなり、哲郎さんが納得できる味の濃い国産大豆を育てている、国内の生産者から仕入れている。

 

 

とは言え、日々の気候に合わせタイミングを見極めながら作る豆腐は、豆の風味たっぷり。

 

 

コク、香り、甘さ、食感が大事な豆腐を、日々作り続けている。

 

 

 

 

旅の最後に訪れたのは、縄文時代の大規模な祭祀場があったとされる「阿久遺跡」。

 

 

 

 

ストーン・サークルのように、板状、平石、ドーナツ状など様々な形の大小の石があり、蓼科山を拝望できる祭祀場を形成していたのだとか。

 

 

時や日を読む役割も担っていたと想像できる石も見つかっている。

 

 

乱れていく「暦」と上手に付き合い、目の前の自然から恩恵を受ける方法を見出す

 

 

私たちの先祖たちも、そうやってしなやかにサバイバルしてきたはずだ。

 

 

数千年前の時を想像していたら、暦の乱れを嘆いたり、既存のデータに頼る必要はないのかも、とも思えてくる。

 

 

五感をフルに生かし、今日の日の光、風、空気の香りにもっと敏感になりたい、と

 

 

改めて思い直せた旅時間となった。

 

文・板倉みきこ

 

 

動画作成・若林容子(tao代官山)

 

〜お宿情報〜

 

今回泊まったお宿はバケーションレンタルの『ヤマウラステイ』です。その中でも今回泊まった『金渓』は4人で泊まるのがちょうど良いくらい、広々としたお宿だったので、本当はもう少しコンパクトな『花兎』に泊まりたかったのですが、予約が取れず、

 

古民家だし、広すぎると怖いかな…と思っていたのですが、景色と一体化した空間が素晴らしく、ココにして良かった♪…と思える素敵なお宿でした。*洗濯機やキッチンもあり連泊も可能なお宿です。

 

●ヤマウラステイhttps://yamaurastay.jp

 

https://yamaurastay.jp

 

〜茅野市での過ごし方・アクティビティの紹介〜

 

茅野市の郷土料理や伝統的なさまざまなな事を体験できるアクティビティ『ちの旅』が紹介されていたので、今回は土地の恵みを感じる『食』と『エネルギー』を味わう旅となりました。

 

 

 

●ちの旅

 

https://chinotabi.jp

 

 

 

★『ヤマウラステイ』や『ちの旅』について、とても詳しく書いてあるブログがあります。参考になさってください↓↓↓

 

https://chinotabi.jp/feature/ヤマウラステイ/

 

 

 

〜夜ご飯〜

 

私達は外食をしましたが、ヤマウラステイではケータリングでお食事を届けて頂くこともできます。

 

ただ、茅野、原村の土地勘がなかった事と、お宿の住所を直前にお知らせを頂いた事の2点の理由から、

 

お宿から車で30分くらいかかるレストランを予約してしまい、真っ暗な道をドライブする事になりました。(それでも楽しかったし、美味しかったので良かったです♪)

 

行きたいレストランがある場合には、ヤマウラステイの方にレストランまでの時間を確認する事をおすすめします。

 

 

 

歩庵 『和風フレンチ』という事で、フレンチのコースのベビーさがなく、優しくて美味しいお料理でした。こちらは貸コテージも併設しているので、お宿とお食事の両方を利用する事もできるそうです。チェックしてみてください。

 

*ホームページは『歩庵』の文字をクリックしてください

 

 

●歩庵貸しコテージ

 

https://poan-garden-kitchen.com/?page_id=50

 

 

 

〜朝ご飯〜

 

●かもすや

郷土料理の朝ごはんをケータリングしてくださいました。キッチンで温めてくださるので、お店で頂いているようなクオリティでした。とても美味しかったので、夜もケータリングでも良かったかな?と思ったぐらいです。

 

https://araralunch.work/2024/09/23/chino-city-kamosu-ya/

 

 

 

〜ちの旅・アクティビティ〜

 

●千年豆腐

標高1000mのお豆腐屋さんで豆腐作り体験をしました。出来立てのお豆腐を食べたのは初めてでしたが、甘味があってとても美味しかったです。ご興味のある方は是非ご体験くださいませ。

 

http://sennentofu.jp

 

 

 

〜昼ごはん〜

 

●登美

信州と言えばお蕎麦です!こちやは地元の方に教えてもらったお店で、美味しかったです♪

 

 

 

https://s.tabelog.com/nagano/A2004/A200403/20000021/

 

 

 

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